飲み薬による治療でウイルス排除に成功
- 患者さんのプロフィール
Aさん(42歳・女性)パート
- 14歳
- :
- 心臓手術時の輸血で感染し、非A非B型(後のC型)肝炎と告げられる
- 30歳
- :
- ペースメーカーの電池交換時の血液検査で、C型肝炎と診断
- 41歳
- :
- 抗ウイルス療法(飲み薬)を開始
- 42歳
- :
- ウイルス排除
C型肝炎と診断されて

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- 自覚症状もなく、治療を受けようとは思いませんでした
● 14歳のときの輸血で感染。病気を治すための手術だったのに…
14歳のとき、心臓の病気のためにペースメーカーを入れる手術をし、輸血を受けました。このとき私は、非A非B型肝炎と言われ、その治療のために入院が長引いたことを覚えています。当時はまだ、輸血時のウイルス感染予防対策が不十分であったため、感染してしまったのでしょう。
30歳になり、ペースメーカーの電池交換時の検査で、C型肝炎と診断されました。非A非B型肝炎が後にC型肝炎と呼ばれるようになったと聞いていたので、「あの輸血が原因だ…」とすぐにわかりました。「あのとき、輸血を受けていなければ…」と考えることもありましたが、「輸血を受けなければ私は助かっていなかった…もしこのまま肝がんで死んでも仕方ないのかな」と、運命として受け入れようとしていました。
● 抗ウイルス治療を友人にすすめられたものの、かたくなに拒んでいました
診断された当時は、ちょうど世間でもC型肝炎が話題になっていました。そのため、友人からは抗ウイルス療法をすすめられたのですが、私はかたくなに拒んでいました。
自覚症状はほとんどありませんでしたし、治療はつらく、負担も大きいと聞いていたので、家族に心配をかけてまで取り組む必要はないと考えていました。とにかく周囲の人には、心配をかけたくない、感染させたくないという気持ちがありました。ですから、病気のこともオープンに話していたし、「私が大けがしても、絶対に血を触らないで」と繰り返し言っていました。
飲み薬による抗ウイルス療法

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- 何をやっても続かない私でも簡単に続けることができました
● 主治医の先生に飲み薬による治療をすすめられて
41歳のとき、主治医の先生に新しい飲み薬を紹介されました。私のウイルスの型は、これまでの抗ウイルス療法では治る確率が低いと言われてきましたが、この薬なら8〜9割の確率が期待できると聞いて、祈る思いで治療に臨む決意をしました。もちろん迷いもありましたが、後押ししてくれたのは、母の「やってみたら」という言葉でした。肝がんで死ぬのも運命だと覚悟をしていましたが、この新しい薬が私の中に「治したい」という希望を呼び起こしました。
● 「うそやろ?」と思うほど負担の少ない治療
治療を始める前に、身体への負担は少ないと聞いていたものの、やはり治療はつらいのだろうという先入観が強くありました。でも、いざ始めてみたら、「うそやろ?」と思うほど負担が少なく、無理なく治療を続けることができました。治療は、決められた時間に薬を飲むだけでよいので、仕事を休むことなく普段通りの生活を送ることができました。
● 「やった!」治療中にウイルス排除の知らせ
治療中の検査で「ウイルスが検出されませんでしたよ」と先生に言われたときは「やった!」とうれしさが込み上げました。家族や友人も一緒に喜んでくれました。治療を応援してくれた母はもちろんのこと、いつも寡黙な父が一番喜んでくれました。将来に対して覚悟を決めていましたけれども、これは私だけではなく家族や友人、みんなで背負っていた覚悟だったのだと、このとき気付かされました。
治療を終えて

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- 将来、肝がんになるリスクが減ったことがうれしい
これまでずっと「肝がんで死ぬんだろう」という不安を抱えて生きてきましたが、ウイルス排除ができたことで、重い荷物をひとつ下ろすことができました。本当にうれしいです。また、かたくなに治療を拒んできた私に、治すチャンスを与えてくださった先生にとても感謝しています。C型肝炎の患者は献血や移植には協力できませんが、これからはお世話になった先生方をはじめ、社会に対して恩返しをしたいと思います。その第一歩として、私の話が治療を始めるきっかけになればうれしいです。
※掲載内容にみられるような効果はすべての患者さんにあてはまるものではなく、特定の薬剤についての効果・安全性をお伝えするものではありません。
これから治療を受ける方へ
あなたを大切に思う人たちのためにも、早く治療を
私は心臓の病気を抱えているため、通院することが当たり前で生活の一部になっていました。また、10代ですでに肝炎の診断を受けていたので、C型肝炎のことにも薄々気付いていました。でも、今までずっと健康だった方が、突然、C型肝炎だと知らされたときのショックは大きいと思います。以前の私のように「自覚症状がないから、治療する必要はない」と思う方もおられるかもしれません。でも、将来への不安は本人だけではなく、家族や友人、みんなが背負っていることを忘れてはいけません。あなたのためだけではなく、あなたを大切に思う人たちのためにも、早く治療を受けてほしいです。